感覚伝承文化の極み

ROMAFEST 2005
増永哲男

 素敵なジプシーに会えるのはルーマニアのトランシルバニア、なかでもティルグ・ムレシュ近郊。威風堂々としたジプシーの男たち、きれいに着飾った女たち、可愛い娘たちに、町の、村の、いたるところで出会うことができます。ヨーロッパのどの民族も持ち得ない共有感性を持つジプシー、母国を持たず文字に記さなかった歴史、知れば知るほどひと(ロマ)の原点が見えてきます。スーパーマイスター・ヤコブ・アティラ、驚愕のスピード・プチ・コザック・エルヌ、野生の貴公子・サント・アティラ、個性あふれる感覚伝承文化の極みをご紹介します。
        

 

 

 


生粋のジプシー、ほとばしる才能
NPO ROMAFEST JAPAN 理事 徳元裕子

 

 1999年にトランシルバニアの村の公民館で始まったロマフェストも、今ではルーマニア中の音楽家、踊り自慢がその舞台でしのぎを削る一大ジプシーフェスティバルに成長しました。参加チームの増加は言うまでもなく、回を重ねるたびに前年のレベルを遥かに上回るパフォーマンスをやってのける彼らの底知れないエネルギーには驚かされるばかりです。
   ジプシーたちは生まれた時から踊りや音楽に接し、自然にそれを自由自在に操る術を身に付けます。喜びに溢れた踊りは他を圧倒するパワーを誇り、悲しみ深い音色は誰の心にも美しく哀しく迫ってきます。ジプシーたちは心から踊り、心から歌います。そんな彼らの姿が私を魅了して止みません。ほとばしる才能の泉を持った生粋のジプシーたちが日本上陸。彼らはその熱い魂を縦横無尽に躍らせ、とどまることの無い進化を私達の目の前で見せてくれるに違いありません。ジプシースピリットに熱いエールを!


 
 

大きく花開け、ジプシー文化
NPO ROMAFEST JAPAN 副理事長 根岸千春

 

 

 国境を越えルーマニアへと足を踏み入れると、なぜだか胸が高鳴る。そして贅沢なプリーツの美しいスカートをはいたジプシーや、立派なつば帽子を誇らしげにかぶり、自信たっぷりにひげをたくわえたジプシーを見かけると、その興奮は一気に度合いを増す。「こんなところに住んでいるのか。」「どんな言葉を話すのだろう。」「何を生業としているのだろうか。」様々な想像が頭をよぎる。
 ジプシーはインドの西北部を起源とし、14世紀に欧州へと渡り住み生活を営んできた民族だとされています。その中でも、旧オーストリア・ハンガリー帝国領内に住むジプシーは、他の地域に住むジプシーに比べて、古くから市民権を得ていました。それは、村での冠婚葬祭や年中行事にはかかせない音楽演奏、生活必需品である金物細工や手工芸品の製作・修理がジプシー達の得意とするところであったからです。特にルーマニアのトランシルバニア地方では現在でも寛大な村人達と誇り高く芸達者なジプシー達が密接に共存しています。
 多くの人に、このジプシーの優れた文化、特 に音楽と踊り、を知ってもらいたい。そして何より、ジプシー自身に自分たちの持つあふれんばかりの才能の花を大きく開かせ、世界に旅立たせたい。その様な思いから、東欧の民族音楽舞踊を30年間取材し続け、音楽に深く関わるジプシーの音楽と踊りと生活に精通している増永哲男氏を中心に、NPOジプシー支援会議(ROMAFEST・JAPAN)は発足しました。毎夏ルーマニア・ティルグムレシュにおいてジプシーの歌と音楽と踊りの祭典"ロマフェスト"を開催しています。

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