コロ舞踊団を迎えて


高市雄之(フォークダンス愛好家)

 コロ舞踊団。オールドフォークダンサーにはどうしようもなくときめきを呼ぶ名前であり、「コロの舞台でね」と口を切るだけで自分も相手も目が輝く経験を持つのは、筆者だけではないはずである。
 戦後の貧しかった日本に来日してヨーロッパの踊りとはどういうものなのかを見せつけ、ヨーロッパなど雲の彼方、という当時のフォークダンサーたちを魅了したのが、マゾフシェであり、モイセーエフであり、そしてコロであったことは何とも忘れ難い。
 今回が4度目の訪日となるコロ舞踊団であるが、実は前回までのとは大きな相違点がある。
 一つの国家に二つの文字、三つの宗教、四つの言語、五つの民族、六つの共和国、七つの隣国。こういう放胆なキャッチフレーズを携えて誕生した国をご存知だろうか。今は解体消滅してしまったユーゴスラビア連邦である。その凄惨な消滅の過程は、まだ筆者の記憶には生々しいのだが。
 コロ舞踊団は、このユーゴスラビアの国立舞踊団として、1948年に設立されたものである。ユーゴスラビア消滅後にもその名前を引き継いでいる実体は、「六つの共和国」の一つであり、ユーゴスラビア連邦の中核を自負していたセルビア共和国の国立舞踊団である。
 では、以前のコロ舞踊団とは無縁の別物かというと、そうでもないので。ここらが、ユーゴスラビアの錯綜した歴史を反映していて、一筋縄ではいかないのですねえ。是非ともご自分の目で確かめて下さい。
 ご存知のとおり、バルカン諸国の踊りは基本的にチェーンダンスである。チェーンダンスに血の騒ぐ向きは、今回の公演に挙って参集されるであろう。チェーンダンス愛好者は、足捌きの細部に眼を奪われるあまり、舞台全体の構成に重きを置かぬことが間々あるのではなかろうか。
 ペアの踊りを基本とする民族の舞台は、ペアが明確な単位となるので、その単位を平面的立体的にいかようにも配置し構成していくことができる。チェーンダンスの場合は話が異なる。個々のダンサーは明確な単位とは言い難く、四人が連なったものと十人が連なったものと,舞台構成上に大きな違いは生まれない。
 この難点をいかに突破するかが、振付師の腕の見せどころであろう。コロ舞踊団におけるその成功例は、たとえばセルビアンメドレーであり、ヴラニエであった。今回の公演にも登場するであろうが、これらの作品がセルビア各地の舞踊団でヒットナンバーの座を占めているのも無理からぬところである。これらの舞台からは、新しい秩序を目指して南スラブ民族が足並みを揃えた建国当時のユーゴスラビアの熱気が、今もなお伝わってくるのだ。

2010 KOLO

フォークダンスは

コロに始まり
コロに終わる

 そのコロの国、セルビアから総勢45名の来日です。
 旧ユーゴスラビアの解体によるセルビアの誇りと伝統は、コロ舞踊団に残されました。 旧ユーゴ時代のプログラムから大きく発展し、セルビア民族の燃えたぎる血と力を、舞台で展開するセルビア絵巻です。お見事KOLO!
フォークロールレポート 増永哲男

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