LADO公演によせて
大村 エリ 2013

 
 その歴史的・地理的条件からも察することができるように、クロアチアのフォークロールは、驚くほどバラエティ豊かです。 そんな豊かな"folklor(フォルクロル)"を、"旅する博物館"・"踊る博物館"とも呼ばれているLADOは、まさに最高のかたちで"展示"してくれます。  先ず、目を惹くのは、その民族衣装コレクションでしょう。日本でもお馴染みの、あの"šahovnica市松模様)"を彷彿とさせる赤と白のコントラストが美しいプリゴリェ地方やポサヴィナ地方の衣装をはじめ、ファッショニスタも釘づけになること間違いない、微笑ましいインパクトを与えてくれる、スサク島の衣装やヴァルポヴォの衣装など、スラヴォニアからアドリア海の島々に至るクロアチア全土はもちろん、ボスニアやセルビアなど周辺諸国の地域に暮らしてきたクロアチア人の衣装など、ありとあらゆる衣装を網羅した、このLADOの衣装コレクションがとりわけ素晴らしいのは、その衣装がもっとも美しく映える踊り―もとの形やスタイルをほとんど崩さないままに舞台へもちこまれた、最高の熟練度を誇るダンサーよる踊り―とともに魅せてくれることです。
 クロアチア語では一般に、踊りを"ples(プレス)"と呼びますが、bal(バル)、kolo(コロ)、drmeš(ドゥルメシュ)、tanac(タナツ)、poskočica(ポスコチツァ)など、いろいろな呼び名や種類があります。大人数で踊られるもの、少人数で踊られるもの、手を前で繋いで踊るもの、後ろで繋いで踊るもの、2人で踊るもの、何人かで輪になって踊るもの、その両方を組み合わせたり交互に踊られたりするものなどがありますが、これらすべてにおいて共通しているのは、ミュージシャンのみならず、ダンサーひとりひとりも、リズムやメロディの担い手、つまり、音楽の一構成要素となって踊るということです。
 かつて、オーストリア=ハンガリー帝国が栄えていたころに、貴族がスラヴォニアの村人たちを招聘して、この地方のゆるやかで陽気なコロを宮殿で踊らせたという記録があるそうです。クロアチアの踊りは、決してクロアチア人や踊りを踊る者だけが楽しめるものではありません、外国人であっても、観ているだけの者でも、楽しめるものなのです。(もっとも、彼らのように歌ったり叫んだりしながら踊るのが、一番楽しいのですが。)
  同時に、耳へ届く音楽も、言葉にできないほど美しい。 民族楽器コレクションも衣装に劣らず豊かです。クロアチアらしい柔和で明るい音色をうみだすタンブリツァ、サミツァ、マンドリンなどの撥弦楽器、ツィンバルと呼ばれる打弦楽器、リェリツァ、ヴァイオリンなどの擦弦楽器、ミフ、ディプリツァ、ドゥヴォイニツアなど多種多様な笛や、ドゥーダ、シュルレ等のバグパイプ類などの民族楽器が創りだす独特な響きはもちろんのこと、とりわけ、LADOが誇る"歌って踊る"ダンサー&ミュージシャンの歌声が素晴らしい。悲喜交々の恋物語や、自然や神への感謝などがうたわれた素朴な民謡をうたいあげる、力強く温かみのあるLADOのハーモニーには、きっと、誰もが心を揺さぶられることでしょう。 彼らクロアチア人たちは、自らの国を"Lijepa Naša(美しき私たちの(国))"と呼んでいますが―そうです、"私たち"にとっても、クロアチアの風景や自然はもちろん、フォークロアもうつくしいのです。 クロアチアのこころから、愛とともに※溢れだす美を、ぜひ、全身で、感じてください。
 * LADOは、2011年5月29日に、東日本大震災のためのチャリティコンサート《Japanu s ljubavlju (日本へ愛をこめて)》をザグレブにて開いてくださいました。

2014 LADO

クロアチア国立

ラド民族音楽舞踊団
増永 哲男 

 クロアチアの正式名称はクロアチア語で、Republika Hrvatska、通称 Hrvatska(フルヴァツカ)、英語表記は Republic of Croatia、通称 Croatia(クロエイシャ)です。クロアチア国立ラド民族音楽舞踊団はクロアチアの首都ザグレブにて発足しました。旧ユーゴスラビアには3つの国立舞踊団があり、マケドニア国立タネツ民族舞踊団(1997年招聘)、セルビア国立コロー民族舞踊団(2010年招聘)に続き、今回はラドを招聘いたします。
長年オーストリア・ハンガリーの文化と共生したパンノニア・スラボニア地方とザグレブを中心とする中央クロアチア地方、アドリア海を挟んで独特の文化を持つダルマチア地方、イタリアと文化を共有するイストリア地方の四つに大きく分けられます。さらに"島の踊り"、"山の踊り"、"里の踊り"の音楽と踊りを見事な衣装とともに展開します。海の踊りと内陸の踊りのコントラストが素晴らしい! 音楽12名・ダンサー32名・衣装・芸術監督各1名計46名の来日となります。

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