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メンスールの日本の父。

ジプシーの父こと増永哲男さん

Marika Bajramovska    2019.05.20

増永さんの話は本当に面白い!!
なぜかって、30年以上に渡ってジプシーに寄り添ってきたから。

 

 増永さんはジプシーの音楽や踊り楽しい面を主に紹介しているけれど、実は私よりも誰よりもジプシーの差別問題などマイナスな面もジプシーと共に受けてきました。
 ジプシーとの国境越えは毎回苦労の連続です。どんなに書類の準備が万端であっても国を出る許可をもらえないという何かしら問題が起きます。
 増永さんにとって家族同然のジプシーへの対応にどんなに苦しい思いをしてきたことでしょう。 そんなときも落ち着いてゆっくり時間をかけること2時間。このときは足りない書類をファックスしてもらい事なきを得ました。
 しかしこんなことは序の口。30年以上このようなことを繰り返し、ジプシーと共に心を痛め涙を流してきたのです。

 そしてジプシーだけでなく、非ジプシーの家族ともご近所付き合いがあるので彼らの思いも痛いほど理解しています。
 ある日の非ジプシーのご家族との会話。寒い冬にも、関わらず近所に住むジプシーの家のドアが無いことに気付き、ドアをプレゼントしたそのご家族。これで冬が越せるだろうと思った矢先、数日後またドアが無くなっていたと。なんと、あまりの寒さにドアを薪がわりに燃やしてしまったと。だから私達はジプシーに同情することが出来ないのだという非ジプシーのご家族。
 お金がないのだから燃やしてもしょうがないと思う人もいるでしょうが、お金がなくても有るものは大切にし、薪を拾いにいくジプシーもいます。
 
 増永さんももちろん同じような体験をしていますが、見捨てたことはありません。私だったらもういいや!と逃げたしてしまうと思うし、何人もの外国人の人がジプシーを支援したいとやってきては去っていったそうです。

 ただ数回ジプシーの元へ訪れるのではなく、一つ一つの家族とずーっと長く付き合いを続け、ある家族とは赤ちゃんの頃から少年少女期を経て、結婚、出産、子供が増え、またその子供が結婚し…この人生の歩みを見守り続けているのです。 時には名付け親になったり。 メンスールもその1人で、他にも何百、もの家族が増永さんに見守られています。大袈裟ではなく事実です。


 だからこそ、ヨーロッパ各国で功労賞を授章しまくっているのでしょう。(増永さん自分で言わないの。そこもすごいところ。大きな舞台で実際に授章されているところを見たときは涙がちょちょぎれてしまいました。)

 ではなぜ増永さんはそんなマイナスな話をしないのか。
 事実を隠したいわけではありません。知りたければ増永さんはいくらでも話してくれますよ。
 でもジプシーって可哀想!応援しなきゃ!って紹介でジプシーは本当に喜ぶのでしょうか?少なくともメンスールは嬉しくないと実際に言っています。
それよりも。ジプシーの才能って世界一じゃん!ジプシーミュージック、ダンスって、なんて人を幸せにしてくれるんだろう! え、でも何、何?環境あまり良くないの?じゃあ応援してあげよう!ってほうが何百倍もジプシーを愛した上で応援したくなりませんか?


 マイナスな事以上に愛すべき愛しいものが彼らにはたーくさんあるし、そして俺達の素晴らしい芸術を見せつけてくれ!というジプシー達の熱い思いを増永さんは痛いほど理解しています。

 

 ジプシーを研究するのは増永さんに密着し取材するのが、何よりも近道だと思います。私が映画作る人だったら速攻取材をしたい。うわべだけでなく奥の奥をみることが出きるから。
 

 口ではあなたは私達の家族よって言われても、非ジプシーで、まして家族以外でジプシーから心から受け入れられてるのって難関なんですよ。これは私がジプシーの嫁になって初めて解ったこと。

 ジプシーが認めるジプシーの父・増永さん。

大変熱く語ってしまいましたが…

えっ、身びいき?身内の持ち上げ?と思われるかもしれませんが、それだけではありません。増永さんは、私がジプシーになりたいんです😭!という夢を叶えてくださった恩師です。16年前薄っぺらいジプシーの知識しかなかった私に、出し惜しみすることなく全てを見せてくださり、体験させてくれました。ホームステイさせてもらった行く先々で「増永さんの知り合いだから、あなたを大切にしてるのよ!」と。言われ過ぎて耳にタコが出来そうでした。

 夫であるメンスールと出逢えたことも増永さんのお陰です。

 そして結婚後に分かったことは増永さんの元で学んだ全てが本当だったということ。

 これは増永さん以外の研究家のお話が嘘だという話ではなく、どれも本当のことです!ただ、先日の超話題のジプシーイベントJai ho! Jzamo hătyalo!主催の1人COCO鮎美さんも言っていましたが、情報で溢れた現在、誰から情報を得るのか。これって本当に重要だと思います。その後の人生まで大きく変わることがあるから。

増永さんからジプシー人生のスタートを切ったことが私の人生の幸運でした。

 

だからこそ、私と同じようにジプシーになりたい!近づきたい!と悩める方にご紹介したいのです。 マケドニアジプシーの家族になれた私ですが、たった7年という期間。そんな私の話よりも、もっと沢山のことが知れますよ。

 増永さんの話を聞かないのは人生を損してるくらい。もったいなさすぎる。
というわけでたくさんの人に聞いていただきたいのです。
どうかたくさんの方に伝わりますように✨

​付録

私がいつも思っていること、残念なこと

2019年4月11日にFaceBookに投稿しました。

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1149618458544613&id=100004894086435

なんだかなぁ。

外国人からみたジプシーについてのお話って、可哀想なことが圧倒的に多い。

 大虐殺、差別とかの話ね。

何でなんだろうと考えてみたんだけど、きっと、現地に行ってジプシーに英語か通訳でインタビュー形式でロマの虐殺や差別についてどうおもっていますか?なんてやり方で話を聞いているんじゃないかっておもう。

例えばいきなり外国人の人にあなたは広島、長崎の原爆についてどうおもっていますか?みたいな。

 聞かれたら絶対悲しい。とかあの仕打ちはやりすぎだった。って答えるよ。

でもでも普段からその事について考える人って極わずかでしょ。

 私なんて毎日メンちゃん、3人の子供、両親、マケドニアの、家族、仕事。自分の生活を守ることで頭がいっぱいだよ。

じゃあジプシー達は?

ジプシーも同じ。彼らの言葉を覚えて毎日一日中一緒に居てみれば分かるから。

 俺達はなんて可哀想なんだ。なんて話聞いたことないし。家族、仕事のことで手がいっぱい。

もちろん一緒にいて差別も見たさ。だけどそれに負けないくらい強いよ。

 しかもレストランでうちの長男と、メンちゃんの一番小さな弟が店で暴れてましたよ。その時にメンちゃんのママがボソッとつぶやいたのが、「これだからこのチガン(ジプシーのこと)って言われちゃうのよ」って。

またある日のメンちゃんと親族とのグループ電話。会話の途中で「だから俺達ロマ(ジプシーのこと)は大きくなれないんだよ」って。

差別を受けてる理由を知っているわけです。じゃあ、差別を無くしたいのなら本人が理由となる対応も改める必要もあるでしょう。

ジプシー皆が貧しいわけじゃないし。もちろん子供が川に入って何かをさがし続けていたり、車が通る道路にたって窓を掃除している人もいるよ。彼らの住みかはトタンで出来てボロボロだったり。

じゃあメンちゃん達はなんで大きくて綺麗な家にすんでるの?家族がお金持ちだから?

違います。メンちゃんいわく自分が小さいときは小さなワンルームにジジ、ババ、父の兄、その嫁、子供3人、パパ、ママ、自分。でヤギ、馬一緒に暮らしてて自分はヤギと寝ていたんだって。

メンちゃんの家族はミュージシャンだから仕事があるじゃーん!

なんてとんでもない。メンちゃんのパパはミュージシャンだけじゃなく、ゴミ拾い、遺体を運ぶ仕事、寝る間も惜しんで家庭を養いながら家を少しずつ大きくきれいにしてきたんです。

つまり努力をしてきた。

いまだに粗末な家にすんでる人の多くは父親は酔っ払って路上で寝ていたり。

もちろんそうじゃない人もいるでしょうが。メンちゃん達はこのような人達を非難することもあります。子供を使ってものごいとかするひと等に対して。

この辺の事情(ジプシーは他のジプシーについてどう思っているのか)はいつかメンスール家族と話してみたいと思います。

というわけで、ジプシーの研究をするなら彼らの言葉でずっーと一緒にいたほうがいいんではないかという提案です。

そういえば、ジプシーの彼と生活をともにしてきたフランス人の女性はジプシーの少女グループと同じ部屋で過ごし、彼女達は可愛そうだから一緒にいてあげるのー。って言ってたけど僅か1週間で私にもリミットがあるって少女達を避けていたのを思い出した。

これがジプシーの近くに住むガジェ(非ジプシー)の気持ちなのかしらと思ったり。

ジプシーとだけ生活をするのだけでなく、非ジプシーの人とも長く一緒に過ごして初めて差別問題を少しだけ語れるのではないでしょうか。

一緒にいて、普段のふとした瞬間に彼らがどのように生きているかが感じられますよ。

というわけで、私達も、私達のジプシーでつながってきた友人も、私をジプシーの世界に連れていってくださった増永さんも、私達が大切にしているロマフェストも、頑張っているジプシーを応募しています!

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