4つの国立舞踊団による
ハンガリアン・ジプシープログラム


フォークロールレポーター 増永哲男

 しかし、旧オーストリア・ハンガリー帝国時代の文化圏に住むジプシーたち、特にトランシルバニアのジプシー達は他の国に住むジプシーたちよりもいち早く市民権を得ていました。なぜなら、金もの細工や鍛冶屋の工芸、金銀宝石類の売買は古くから馬車とテントで旅するジプシー達のお家芸でした。また町や村のクリスマス・イースター・結婚式・居酒屋(チャルダ)の音楽演奏はそこ住み着いたジプシーたちの大きな役割でした。バルトーク、コダーイ、リストの音楽の中にもジプシーのイメージが多く登場します。いまでもトランシルバニア地方(特にセイケイ地方)のジプシーたちは普段も綺麗なジプシー衣装を着て生活しています。かれらはジプシーに生まれてきたこと、彼らの生活・文化を誇りにしています。
  そのようなジプシーの中からサースチャバシュ・ジプシーバンドがやってきます。トランシルバニアに住む人たち(ル-マニア人、ハンガリー人、ドイツ人、ユダヤ人、ジプシー)の地域に密着した力強い音楽を演奏します。彼らのお父さんもおじいさんも名バイオリン弾きでした。加えてこの村の楽士達は歴代名舞踊手でもあります。
 ブタペストからはアンド・ドロム・ジプシーバンドがやってきます。アンド・ドロムは身近な生活の中から水瓶、スプーン等、叩けるものは何でも楽器にしてしまいます。切なくも甘く、悲しくも美しく、ジプシーの言葉で、ジプシーのための音楽を披露します。ハンガリーでは1990年にジプシー議会がヨーロッパで最初に創設され、ジプシー語による教育のための学校も創立されました。特に文字を使わない感覚伝承を基本にするジプシーたちが芸術重視の教育を受けたときの成果は今から楽しみです。アンド・ドロムのリーダーであるイエノゥ・ジグゥさんはそのジプシー議会の議長でもあります。
 ハンガリーの4つの国立舞踊団(ハンガリー国立民族団、ハンガリー国立ブタペスト民族舞踊団、ホンベード舞踊劇場、BMドゥナ芸術団)とトランシルバニアからルーマニア国立マロシュ民族舞踊団から選抜された10組のプロ舞踊手20名がハンガリー国立民族舞踊団舞踊監督ジュラフスキー・ゾルタンさんのプログラム構成、総合芸術監督にバルガ・エルビンさんを迎えジプシーフォークロアを展開します。誇り高き生のジプシーの音楽を唄と踊りでご紹介します。
 

http://www.folklor.com/ensembles/2000hungariangypsy/main.html
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