第8回 ロマ(ジプシー)シンポジウム 2019
2019年2月17日(日)15:00~19:00 NYC大ホール 第8回ロマフェストジプシーフェスティバル内にて開催
2019年2月21日(木)17:00~20:00 鶴見サルビア音楽ホール ジプシーダンス展示解説
17日 永積裕次郎 「フラメンコとポルトガルジプシー」
17日 MENSUR・MARIKA マケドニアジプシー事情Ⅲ
17・21日 増永哲男 「ジプシーダンス100景Ⅲ」
17・21日 RAHIS BHARTI Coco 鮎美 「インドラジャスターンのジプシー」
21日 岩谷彩子 「ジプシー芸能と女性」
インドのカールベリヤー女性の事例を中心に、ジプシー芸能に従事する女性に対する社会的な期待と抑圧、それらを力に変えてきた女性たちの生き方から、ジプシー社会におけるジェンダー規範について再考する。
21日 村山和之 「パキスタンの職能芸能」
21・23日 Gulabi Sapera 「カルベリアについて」
第7回 ロマ(ジプシー)シンポジウム 2018
2018年3月10日(土)16:00~20:00 国立オリンピック記念青少年センター
第7回ロマフェストジプシーフェスティバル内にて開催
Coco 鮎美 「ラジャスターンと私」
増永哲男 「ジプシーダンス100景Ⅱ」
MENSUR・MARIKA マケドニアジプシー事情Ⅱ
第6回 ロマ(ジプシー)シンポジウム 2017
2017年3月11日(土)16:00~20:00 国立オリンピック記念青少年センター
佐 藤 雪 乃 「チェコのジプシー教育」
Coco 鮎美 「現代社会におけるジプシーの概念とその内包的意味の傾向」
「インド各地の部族の立場からの見解と自覚との比較」
the tengencies in connotation of the modern meaning of 'Gypsies' :
comparisons between the view and awareness of it
from different tribes in Indiae modern meaning of 'Gypsies' :
永積裕次郎 フラメンコとスペインジプシー」
増永哲男 「ジプシーダンス100景」
MENSUR・MARIKA マケドニアジプシー事情
2017年1月22日公開された村上直美制作ドキュメント映画「モラネの花嫁」
(マケドニア音楽ジプシー大家族一家に嫁いだ日本人娘Marika)の婿が
さらに詳しく生のマケドニア・ジプシー事情を解説
第5回 ロマ(ジプシー)シンポジウム 2016
於 NYC(国立オリンピック記念青少年センター・小田急参宮橋駅下車6分
2月12日(金)18:00
ロマフェストジプシーシンポジウム・プレフェスティバルにて、ジプシー・フィールドワーカー村山和之 岩谷彩子 市橋雄二 永積裕次郎 Coco鮎美がジプシーダンスと芸能を語ります。またフェスティバル主宰者、フォークロールレポーター増永哲男はジプシーダンスの在る有る原風景を話し、フェスティバル参加ジプシーダンサーと聴衆の皆様にエールを贈ります。昨年度フェスティバルにて好評を博した作品が発表されます。
2月12日(金)NYCホール (指定席)
14:30 ① ハンガリー国立舞踊団公演
18:00 ② 2016ROMAFESTプレフェスティバル
ROMAFEST 2015から選抜された優秀作品とシ
ンポジウムパネラーが交互に発表されます
第5回ジプシーシンポジウム テーマ:ジプシーダンスと芸能
村山和之「ジプシーの源郷:パンジャーブ地方の芸人について」
ジュラフスキーゾルタン「ハンガリーのジプシーダンス解説」
Coco鮎美「ラジャスターンの芸能とジプシー」
市橋雄二「インド・ラージャスターン地方に伝承される漂泊の芸能
〜ジョーギー・カールベーリヤーとその適応戦略」
増永哲男「あそこにもここにも、有る、在る、ジプシーダンス原風景」
岩谷彩子
永積裕次郎
<音楽>
Iacab Attila(Romafest)
Hegedos Ensemble (Hungary)
<ダンサー>
ハンガリー国立舞踊団
Coco鮎美&EEV
JJ Rohita & ジプシーダンス池尻 研究所
IKUYO MIHO Nourah Somayya
タカダアキコ
ロマフェストジプシーダンス研究会 (ロマ研)
LiLith <trial>
2月13日(土) NYC体育館 (定員50名)
11:00 ③ハンガリー・ニールシェーグ地方(ハンガリー東北地方)ジプシーの踊りWS
ハンガリー国立舞踊団指導ワークショップ
3月14日(土) NYC41練習室 (定員30名)
18:15 ④ルーマニア・ウルクー村のジプシーの踊りWS
ハンガリー国立舞踊団指導ワークショップ
第4回 ロマ(ジプシー)シンポジウム 2015
於 NYC(国立オリンピック記念青少年センター・小田急参宮橋駅下車6分) 地図
2015年2月8日(日)ジプシーキャンプ前期
15:00-18:00 小ホール
佐藤雪野
「チェコの教育におけるロマ」
東北大学大学院国際文化研究科で、多文化・多民族共生について、主として中欧の歴史・現状を中心に研究・教育を行っています。ロマ(ジプシー)については、1999年頃から研究を始め、文化、歴史、現状など幅広く研究対象にしています。
アシスタント 冨川多佳子 19世紀の英国と"ジプシー"
東北大学大学院国際文化研究科博士後期課程学生。
19世紀英国の"ジプシー"に関する資料(記録や政策など)を集めています。英国の"ジプシー"への対応をまとめ、当時描かれた文学作品における"ジプシー"像との比較
市橋雄二
「ジプシーのうたを求めて~インド・アルメニア・マケドニア・トルコの旅Ⅰ」
東京外国語大学インド・パーキスターン語学科卒。ビクターエンタテインメント・プロデューサー。80年代後期より世界と日本の伝統音楽・芸能の映像記録の制作に携わり、その後市川捷護氏と共にインド、アルメニア、マケドニア、トルコを巡りジプシー(ロマ)の芸能を現地調査。WEBサイト「ジプシーのうたを求めて~Gypsy Trails」の<ジェレム・ジェレム便り>コーナーで世界各地のロマ事情を発信中。 アルメニアのボーシャと呼ばれるロマを取り上げ、歴史的背景と今日伝承されている歌などを現地調査の映像とともに紹介します。
古館由佳子
「私とハンガリーのジプシーバイオリン(続)」
ジプシー・バイオリン奏者 桐朋学園大学音楽学部を卒業。94年に初めてジプシー楽団の音楽に接し、1年おきに日本公演を行っているラースロー・ベルキとジプシー楽団の演奏スタイルを独学で身につけ、ジプシー楽団創設の祖とされる女性ヴァイオリニスト、ツィンカ・パンナの生まれ替わりとしてベルキらから賞賛を受けるにいたった。ベルキの楽団メンバーでチェリストのバルナバーシュ・ヴァイダの紹介により、ジプシー・ヴァイオリンの帝王としてハンガリーに君臨するラヨシュ・ボロシュの指導を受けた。
村山和之
「 北インド~パキスタンの芸能集団とその動向」
和光大学非常勤講師バローチスターンおよび南・西アジア文化研究。
主著『旅の指さし会話帳・パキスタン(ウルドゥー語)
主にインダス河両岸地域の民謡・語り物を中心に、パフォーマンスの映像を使って、インド世界とイラン世界の狭間にジプシーの残照を探る旅の話。
先崎廣伸
「 トルコのフォークロールとロマ・ジプシー事情」
トルコ民族舞踊研究家・民族舞踊プロインストラクター 。日本初のフォークロールレッスンティーチャーとなり40年。その間、バルカン・トルコの調査取材を毎年欠かさず、現在に至るトルコ・フォークロール第一人者。
RAHIS BHARTI
インド 「ラジャスターンのジプシーと音楽と踊り」
インドは壮大なスケールの価値観、宗教やカースト、そこから分かれる部族から成るなど、その伝統が文化に根強く残りながら発展している面白さは中毒性をも伴う摩訶不思議な国:マハラジャに仕えた音楽家の子孫であり、吟遊詩人音楽家、カルベリア部族を含むダンサー、ヒンドゥー教、イスラム教を含む神に使える歴史をもつ部族からアクロバットパフォーマーまでを率いるニューリーダー。
DHOAD Gypsies from Rajasthan代表 通訳cocoAyumi
18:00-20:00 ロマフェスト・ジプシーキャラバン 公演
3月6日( 金)ジプシーキャンプ後期
18:00-19:30 大ホール
長純雄二郎
「スペイン・ジプシーの旅 Vol.3 〜フラメンコへの問いかけ」
スペインのジプシー、フラメンコの歌とギターに魅了されて10数年。この世界を追いかける旅で理解したことを短編DVDに凝縮して発表致します。スペインジプシー密着フォークロールリスト
羽場久美子
「拡大EUのロマ政策ーロマとの共生へ」
青山学院大学 国際政治経済学部教授 卒論でトランシルヴァニアの民族問題を扱って以来、トランシルヴァニアの美しく多様な民族衣装と、ロマの音楽、踊り、衣装に魅せられています。ハンガリーやルーマニアに行くと、地方や境界線を巡るのが好きです。ロンドン大学(1996-6)、パリ大学(2004)、ハーバード大学(2011-12)で客員研究員を務め、その都度、中・東欧を訪れています。最近はギリシャ、ウクライナに行ってきました。専門は、国際政治、拡大EUと民族問題などです。北米最大の学会(6200人会員)、世界国際関係学会の次期副会長に選出されました。民族問 題、ポスト共産主義、ジェンダーの部会を担当しています。日本学術会議会員、東アジア共同体評議会副議長、国際アジア共同体学会副代表、日本政治学会・日本EU学会・ロシア・東欧学会の理事も務めています。 著書として、半年で3刷まで出た『EU(欧州連合)を知るための63章』、『拡大ヨーロッパの挑戦ーグローバルパワーとしてのEU』『ロシ ア・拡大EU』『ハンガリーを知る49章ードナウの宝石』などがあります。ロマの魅力を堪能して下さい。
岩谷彩子
「ジプシー・ダンス」の誕生とグローバルな変容―インド北西部ラージャスターンの遊芸民カールベリヤの事例より」広島大学大学院社会科学研究科・准教授
小学生の頃、『嵐が丘』(エミリ・ブロンテ作)に魅せられ、「ジプシー」の世界に入る。1996年から、インド、フランス、ルーマニア、ギリシャ、イタリアなど、世界の移動民、「ジプシー」、ロマが生活する場所におもむき、彼らの生活の論理を探求している。専門は文化人類学。京都大学大学院人間・環境学研究科修了(博士/人間・環境学)。
主著『夢とミメーシスの人類学―インドを生き抜く商業移動民ヴァギリ』
19:30-21:00 ロマフェスト・ジプシーキャラバン シンポジウムコンサート
3月7日(土)ジプシーキャンプ後期
15:00-16:00 大ホール
増永哲男
「ジプシーの生活 と踊り(4)・みなさまのジプシーへの素直な疑問」
誰にも聞けないジプシーに関する質問受付中
ジプシーの現場で苦楽を共にし、彼らの長所である音楽・舞踊・芸能を支援応援するフォークロールフィールドワーカー。40年 間のフィールドワークで記録取材した映像は2000時間を越える。中央ヨーロッパ・カルパチア盆地(スロバキア・ハンガリー・ルーマニア・セルビア・クロアチア)およびマケドニア・コソボを中心に活動している。足腰の動く間はフォークロールの世界に、ジプシーのフィールドにいたいと願っている。
NPOロマフェストJAPAN代表 ㈱フォークロールレポート代表
DESTANOVSKI ZHELO ZEKIR SELJADIN マケドニア
「マケドニアのジプシー音楽事情」
DZELJO DESTANOVSKI WEDDING BAND
200年続くジプシー音楽ファミリー・デスタノフスキー家の家長、マケドニア国立タネツ民族音楽舞踊団ズルラ奏者。マケドニア人・アルバニア人・ロマの結婚式に年間100本も呼ばれるスーパーウェディングバンド。
通訳はこのマケドニア音楽ジプシーに嫁いだ日本人女性Marikaさん。
17:00-21:00 第4回ロマフェスト・ジプシー音楽舞踊祭(ロマフェスト・フェスティバル)
第3回 ロマ(ジプシー)シンポジウム 2011年
バルカン・ジプシー、中欧ジプシーが集うフェスティバル(ロマフェスト・五カ国ジプシー・フェスティバル)、国こそ違え参加するジプシーに共有するものはジェレム・ジェレムというジプシー語で唄うジプシー国歌です。この美しくも哀しいメロディと歌詞はあなたの心に残るでしょう。
トルコの影響を受けイスラムを信ずるムスリムの品格あるジプシー衣装、カトリック・プロテスタントを信ずるヨーロッパジプシーのカラフルで自由なジプシー衣装 。”現在も着続けるジプシープライド!”
バルカンの強烈大胆な太鼓とラッパ、ヨーロッパの繊細華麗な管と弦の音楽、お聞き下さい。"これがジプシー音楽!"
バルカンのセクシーなチョチェック(マハラ)、ヨーロッパのリズミカルなチンゲリ(カップルダンス)、 お届けします "これぞジプシーダンス!"
ジプシーってどんな人?宗教はあるの?ロマとジプシーは違う人?ローマで会ったあの悪さのジプシーは?ロンドンのは?パリのは?どこから来たの?歴史は?国はあるの?言葉は何語?文字はあるの?ジプシーって何で旅するの?今どこに住んでいるの?ジプシー音楽って何?踊るジプシー娘って本当?まだまだあります、謎いっぱいのジプシー。
あなたの疑問にお答えします。目から鱗のジプシー 謎解き特別企画
フォークロールレポーター 増 永 哲 男
しかし、シンポジウム・コンサート当日 3月11日(金) ロマフェスト・ロマ・ジプシーシンポジウム・コンサートで初めてのチケット完売となり、2日間連続も初めてのシンポジウムでした。その仕込時、あの東日本大震災が私たちをも襲いました。ジプシーたちにとって生涯初最大の恐怖でした。
その影響で、予定をしておりましたNYC小ホールはNYCからホール使用中止を要請さ れました。しかし、大震災直後にもかかわらず、会場には4人のお客様が2時間以上歩いて駆けつけてくださいました。来てくださった方々の気持ちに応えたい、またシンポジウムを応援してくださっているすべての皆様の気持ちに応えたい一心で、NYCとの交渉を続けました。ホール内は吊りもの 照明灯の安全確認ができず、その結果、小ホールホワイエで開催することになりました。度重なる余震の中、ホワイエ会場に設備を設 置し少々開始時刻は遅れてしまいましのたが、シンポジウム・コンサート・ワークショップを開催することができました。
余談ですが震災1日前の10日はアンサンブル全員とスタッフは仙台・松島で船に乗り観光していました。その時も震度3の地震がありましたが、良いお土産と笑っていました。そしてその夜、東京に戻りました。
11日のシンポジウム発表予定者2名は交通事情がままならず中止。急遽、増永哲男(ロマフェスト代表)のジプシー報告となりました。その後、同じくホワイエにて、全ダンサー、全ミュージシャン参加 のワークショップ型のコンサートも行われました。
12日も小ホール内は使用禁止が言い渡されていましたが、その後NYCとの交渉で、11時からのシンポジウムは小ホールホワイエで行うことの許可をいただき、どうにか電車を乗り継ぎかけつけてくれた関口義人氏と主催者増永哲男氏のジプシー対談と参加者との質疑応答、14時からのコンサートは 大ホールホワイエにて、18時からのワークショップ(さよならジプシーダンスパーティ)は予定通りカルチャー棟41号室で行いました。出演者も観客も涙、涙の感動コンサート、さよなら パーティになりました。
2月16日(水)15:00-17:00 名古屋市青少年文化センター第3研修室 増永哲男
3月11日(金)18:30-21:30 Ⅰ NYC小ホール
岩谷彩子 ロマ・ディアスポラ試論
―起源を分有する共同体であるために
羽場久美子 EUのジプシー(ロマ)政策
ジプシーコンサート 増永哲男の解説と共にメンバー紹介
ワークショップ 全ダンサー・全ミュージシャン・全参加者
3月12日(土)11:00-16:00 Ⅱ NYC小ホール
永積裕二郎 スペイン・ジプシー ~フラメンコと絡み合う人生
古舘由佳子 ジプシーとバイオリン
佐藤雪野 チェコの古典と「ジプシー」
村山和之 パキスタンの職能音楽家たち
-ジプシーの故地パンジャーブを中心に
関口義人・増永哲男 ジプシー対談
Aプロ グランド・フィナーレ
日本・ドナウ交流年2009
第2回 ロマ(ジプシー)シンポジウム
於 NYC(国立オリンピック記念青少年センター・小田急参宮橋駅下車6分)
2月10日(火) 19:00-21:00 小ホール
Mプロ ジプシー音楽コンサートとタンツハーズ(開会式)
ジプシープリマ-シュが弾き、自由に踊るジプシーダンス
演奏ロマフェスト・ジプシーバンド プリマーシュ:ヤコブ・アティラ
2月11日(水) 11:30-13:30 小ホール
パネラーによる発表①
古舘由佳子 「私とジプシーバイオリン」 ジプシー・バイオリン奏者
村 山 和 之 「パキスタン南西部の楽士集団:ローリーとドーリー」
和光大学非常勤講師バローチスターン文化研究
主著『旅の指さし会話帳・パキスタン(ウルドゥー語)
羽場久美子 「拡大ヨーロッパのマイノリティとしてのロマー境界を越える民族」
法政大学大学院付属 ヨーロッパ研究所所長
青山学院大学 国際政治経済学部教授
ジュラフキ・ゾルタン 「ハンガリー人とジプシー音楽・舞踊」
ハンガリー国立ホンベード民族音楽舞踊団芸術監督
増 永 哲 男 「ジプシーの生活・音楽・踊りⅠ 結婚式・洗礼式・葬式」NPOロマフェスト代表
14:00-16:00 小ホール ハンガリー国立ホンベード民族音楽舞踊団・ロマフェスト 公演
3月14日(土) 18:30-20:00 セミナー室417
ロマに関する自由発表・座談会②
永積裕二郎 「スペインジプシ-と、彼らの音楽の持つ力」VIDEO
郷堀久爾子 「チェコ・ロマ支援NPO法人主催ロマ芸術祭Khamoro参加と
ルーマニア滞在(2001年~2003年)報告」
杉 原 衣 美 「ジプシー卒業論文(早稲田大学)の訂正と誤解の原因」
徳元裕子 根岸千春 桐原良子 「ジプシー懇話」 NPOロマフェスト理事
ジプシー音楽、ジプシー舞踊(マハラ、チンゲリ)、魅了するジプシーの天性
自 由 参 加 参加者による自由懇話・発表
19:30-21:45 音楽演劇室41 Mプロ ジプシー音楽コンサート(ライブ)とタンツハーズ
3月15日(日) 10:00-11:30 音楽演劇室42 ジプシーダンス・ワークショップ
11:30-13:00 セミナー室417 パネラーによる発表③
大 塚 奈 美 「カロタセグ地方のジプシー音楽家たち」
総合研究大学院大学(国立民族学博物館)博士課程
野 端 聡 美 「ドイツ文学におけるロマ像の変遷 ―嫌悪と憧憬の間で―」
慶応義塾大学文学研究科独文学専攻博士課程
バルガ・エルビン 「スロバキアのジプシー音楽と舞踊」
スロバキア国立スルク民族音楽舞踊団芸術監督
岩 谷 彩 子 「ギリシャのロムの生活と歌謡-アジアとヨーロッパの狭間で」
広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻・准教授
増 永 哲 男 「ジプシーの生活・音楽・踊りⅡ 結婚式・洗礼式・葬式」
NPOロマフェスト代表
13:45-15:45 セミナー室417 パネラーによる発表④
中 島 崇 文 「ルーマニアにおける少数民族問題―ロマを中心に―」
学習院女子大学 国際文化交流学部 国際コミュニケーション学科 准教授
佐 藤 雪 野 「ロマと非ロマの共生―チェコとスロヴァキアの事例」
東北大学大学院国際文化研究科准教授
水 谷 驍 「ジプシー研究の現段階」
ジプシー/ロマ懇話会主宰
著書:『ジプシー 歴史・社会・文化』(平凡社新書、2006年
16:00-16:45 音楽演劇室41
Cプロ これがジプシーダンスだ!!
さよなら閉会パーティ
第1回ジプシー・シンポジウム参加記
佐 藤 雪 野
2005年3月4日、5日の2日間、東京のオリンピック記念青少年センターで第1回ジプシー・シンポジウムが開催された。主催はNPOジプシー支援会議(NPO ROMAFEST JAPAN)で、NPO民族文化青年交流支援会議ポルカ(NPO POLKA)が共催した。野村国際文化財団の助成を受けたものであった。二つのNPOは、長年にわたり、東欧の民族舞踊・民族音楽を日本に紹介してきたフォルクロールレポート社の増永哲男氏が中心となった組織で、前者は、毎年ルーマニアで開催されているロマの祭典ロマフェストの支援を行い、後者は、日本への東欧民族舞踊や舞踊団の紹介、普及を図っている。
二日にわたるシンポジウムのプログラムは以下の通りであった。
3月4日(金)オリンピック記念青少年センター(NYC)小ホール
①16:00 ジプシー文化と生活の研究調査発表報告会
②19:00 ROMAFEST コンサート
3月5日(土)NYCカルチャー棟42号室
③10:00 ⑤14:00 ジプシー・ダンス講習会
3月5日(土)NYCカルチャー棟41号室
④11:30 増永哲男ジプシー報告会"ロマフェストのジプシーたち"
⑥16:00 生音で聴くスーパーマイスター、ヤコブ・アティラ・ライブ
⑦19:00 唄と踊りとサイブゥグゥ、サースチャバシュ・ライブ
3月4日のジプシー文化と生活の研究調査報告会では、5人の報告者の報告が行われた。時間の制約から、質疑応答・討論の時間はほとんど取れなかったのが、残念であった。
最初の論者は、「日本ロマ研究-非営利・非政治的なロマ/ジプシー研究サイト- (http://www.romani-studies.jp)」を主催する松山哲博氏(帝京大学大学院)で、論題は「ロマ民族に対する誤謬と社会的概念としての『ジプシー』」であった。氏は、アジアで「ロマ/ジプシー」と呼ばれている人々の中には、紋切り型の「ジプシー 像」を根拠に、政治的・商業的に利用されている「遊動民」を紹介した。例えば、民族的には「ジプシー」とは縁のない人々が「海のジプシー」と命名され、旅情をかきたてる道具とされている例があげられた。それにより、氏は、「民族的ジプシー」ではない「社会的ジプシー」の存在を指摘した。
次に、岩谷彩子氏(京都大学・日本学術振興会特別研究員)は、「語られない死と語られる夢―インドの移動民ヴァギリの事例より」という論題で、インドの移動民社会における死の問題を論じた。彼らの社会においては、死者の弔いは大々的には行われず、残された者は、死者のことを余り語らない。死者が現れた夢は悪夢として、儀礼が必要になる。氏自身がもたらした写真をきっかけとする夢見の結果、氏はその写真を破棄せざるをえなくなった事例など、フィールドワークに基づいた貴重な具体例に富んだ報告であった。
フリーライターの早坂隆氏は、「マンホールで出会ったロマたち」という論題で、著書『ルーマニア・マンホール生活者たちの記録』でも取り上げられたルーマニアの首都ブカレストのマンホールで暮らすロマの子供達を、写真を交えて紹介した。2001年頃のことであるというが、マンホールで、温水配管の熱で暖を取りつつ冬を過ごすなど、壮絶な暮らしぶりである。また、この子供達は、孤児院でひどいいじめに遭って逃げてきてマンホール生活に至った例が多いようだ。早坂氏との交流で、生まれて初めて誕生日を祝ってもらい、バースデー・ケーキを食べることができた少年もいた。
音楽ジャーナリストの関口義人氏の論題は、「ルーマニアの”ジプシー”楽士たち」であった。早坂氏が紹介したロマとは一転して、大邸宅に住み、宝飾品を身につけ、富裕な生活を送るロマの集落が紹介された。富裕なロマは、商業取引により富を得た者と、伝統的な音楽の才能を生かして富を得た者が代表的である。現在、ワールド・ミュージックのブームの中で、ロマの音楽は世界中で注目されているが、氏の報告はロマのブラスバンドなどを、写真と音声を用いて紹介したものであった。2005年5月に、日本で初来日公演を行う予定のマハラ・ライ・バンダも紹介された。
最後に筆者(佐藤雪野)が、「チェコのロマの歴史と現在」という論題で、チェコのロマの歴史と現状を、多数派の人々との関わりやロマに対する政策の変遷から解説した。現状については、特に、ロマと多数派の人々の相互理解のための試みを紹介した。(筆者の報告の詳細については別添資料を参照。)
続くROMAFESTコンサートは、二部構成で行われた。1999年から始まったルーマニアのトランシルヴァニア地方で始まったロマフェストは、ロマの音楽と舞踊の祭典として、その後毎年ティルグ・ムレシュ(地名・人名等の表記は主催者の表記に従った)で続いている。今回の踊り手達ロマフェスト舞踊団は、そのロマフェストの舞踊コンテストで優秀な成績を収めた踊り手を選抜して構成したものである。その多くは15歳前後のまだ中高生の年齢の少年・少女達であった。音楽家達は、サースチャバシュ村のメンバーは20歳前の若手で、それぞれソロの踊りも見せる。プリマス(ジプシー楽団のリーダーである第一ヴァイオリン奏者)のヤコブ・アティラ(ハンガリー式に姓名の順に記載)が率いるバンドの方は、年齢層が高めであった。(もっとも見た目から推察される彼らの年齢と実年齢にはかなり差があることが多いが。)コントラバス奏者は両方のグループに参加していた。
踊り手のうち、ソロを担うプチ・エルヌーやサント・アティラという20歳前後のメンバーは、歌手としてもソロを歌う。
メンバー達は、ロマ語の他、ハンガリー語、ルーマニア語に堪能で、その他学校で習った外国語もできるということであったが、彼らの間ではロマ語で、彼らと日本人スタッフとの間ではハンガリー語で会話しているようであった。また、彼らの姓名からもハンガリーの影響が強いことがうかがえた。
第一部のプログラム
1 ジェレム・ジェレム サント・アティラのジェレム・ジェレム
プチ・エルヌーのジェレム・ジェレム
マハラ調ジェレム・ジェレム
チンゲララーシュ
2 サースチャバシュ村の音楽 チャールダーシュ
チンゲララーシュ
マハラ
3 マジャール・カフェバー モンティ・チャールダーシュ
4 チンゲララーシュ 3人の女の子と男の子のチンゲララーシュ
5 ベルブンク ジプシーのリクルーティング・ダンス
ロマの国歌(民族歌)とされる「ジェレム・ジェレム」のアカペラでの歌唱から始まったプログラムは、厳かな雰囲気から、ロマの舞踊チンゲララーシュの盛り上がりで最初のセクションが終わった。そこで観衆は、ロマの音楽性や舞踊に現れるリズム感や情感に引き込まれることになる。
続くサースチャバシュ村の音楽は、ヴァイオリン奏者二人とヴィオラ奏者一人にコントラバス奏者一人の編成であった。ハンガリーの速いテンポの民族舞踊音楽チャールダーシュの後のチンゲララーシュでは、ヴァイオリン奏者二人とヴィオラ奏者は、一人ずつ楽器をおいてソロの踊りを示した。
マジャール・カフェバーのセクションでは、ヤコブ・アティラ率いるヴァイオリン2、ヴィオラ1、アコーディオン1、コントラバス1のアンサンブルが、ハンガリーの音楽を演奏した。プログラムにあげられているモンティのチャールダーシュの他、ブラームスのハンガリー舞曲なども演奏された。ハンガリー人の集まる飲食店での演奏という設定である。
続くチンゲララーシュは、プチ・(コザック)・エルヌーと三人の少女の掛け合いの踊りである。これは、ストーリー性のあるもので、三人の少女それぞれに言い寄った少年は、結局皆からふられてしまうが、最後に伴奏していたヤコブ・アティラと共に踊り出すという結末である。
第一部最後のベルブンクは、ハンガリー文化圏一帯でよく踊られる徴兵のための男性の踊りで、発生当時からロマが多く参加していたといわれる。勇壮な踊りを、ロマの踊りとしては珍しく男性舞踊手達が群舞でそろって踊る。ドイツ語の宣伝を意味する言葉Werbungから名付けられている。
第二部のプログラム
6 ジプシー・パーティ サイブーグー デブラ・デブラ チンゲララーシュ
7 リトゥムシュ・ヤーテク 男性のリズムダンス競演
8 ロマン・カフェバー ルーマニア・ラプソディー(ジプシーバージョン)チョカルリア(ひばり)
9 マロシュのチンゲララーシュ フィナーレ
第二部最初のジプシー・パーティでは、ロマが彼ら自身のために楽しむ時の音楽や踊りという設定で、金属製のミルク缶を楽器として打ち鳴らしたりこすったりし、声も楽器のように用いるサイブーグーから始まり、最後は、チンゲララーシュで締める。
リトゥムシュ・ヤーテクでは、それぞれの踊り手の技術が見せ場を作った。どの踊りをとっても、個人の運動能力の高さ、身体コントロール能力の高さが目立つ。4月1日に仙台市青年文化センターで行われた公演も見たが、一連のプログラムの中で激しい踊りを続け、一ヶ月半ほどの日本ツアーで日本中を毎日のように踊りながらも全く疲れる様子がなく、むしろ成長を感じさせられた。伸び盛りの若い踊り手の底力と可能性を感じた。
ロマン・カフェバーは、ヤコブ・アティラのアンサンブルが、今度はルーマニア人の集う飲食店で演奏しているという設定である。実際のところ、第一部のマジャール・カフェバーやロマン・カフェバーで演奏された曲は、ハンガリーにせよルーマニアにせよロマ楽団の定番のレパートリーである。チョカルリアでは、ヤコブ・アティラのヴァイオリンとサント・アティラら踊り手2名が口笛で競演した。
最後は彼らの出身地方のトランシルヴァニアのマロシュ地方の踊りで感動的なフィナーレとなった。彼らの舞踊には即興性があるため、公演によって違った踊りが見られるのも楽しみであった。
シンポジウム二日目は、午前と午後に音楽と舞踊のワークショップがあった。サースチャヴァシュの楽団の伴奏で、参加者は、午前は、サント・アティラを中心とする踊り手からシャルパタク村の踊り方の、午後は、プチ・エルヌーを中心とする踊り手からティルグ・ムレシュ市の踊り方のチンゲララーシュを習った。教える側は男性が多く、習う側は女性が多く、数的にはアンバランスであったが、踊り手から直接ステップが習える貴重な機会であった。同じ曲で基本的ステップが同じであっても、町や村により伝えられている踊りの振りが違うことが実感された。また、参加者の年齢層は広く、日本の民族舞踊人口の裾野の広さも感じられた。
午前のワークショップの終わり頃に重なる時間帯に、「増永哲男ジプシー報告会"ロマフェストのジプシーたち"」が開かれた。増永氏は毎年訪問しているトランシルヴァニアのロマ集落の様子を写真を交えて紹介した。ロマの素晴らしい点(のみ)を紹介するという氏の姿勢もあって、聴衆は、「太く短く生きる」ロマの人生観やライフ・スタイルに憧れをいだいたようである。前日の報告会で早坂氏が紹介したマンホールに住むロマが底辺の暮らしで、関口氏が紹介した大邸宅に住むロマが物質的に最も豊かな暮らしをしているとすると、その間の「普通の」ロマの暮らしが紹介されたといってよいかもしれない。その暮らしぶりは小さな小屋の家に大家族が住み、洗濯物も干しっぱなしといった具合で、貧しいといってよい部類であが、
増永氏の語る彼らの暮らしぶりは生き生きとしており、ロマであることを誇りに思っている様子が感じられる。トランシルヴァニアという古くから多民族的な伝統を持つ空間と、チャウシェスクの独裁時代のルーマニア化政策が、ロマと非ロマの現在の関係にどのように影響しているのか興味深い。増永氏の語るように非ロマがロマに対して相対的に寛容で、両者の共存が実現できているのだとすると、その理由としては歴史的に多民族の存在に慣れていること、ルーマニア化政策に対してハンガリー系とロマ系が共闘したり、共感したりした可能性、スケープゴートとしてのマイノリティを必要とするような社会的不満をかかえていない、などが考えられるであろう。もちろん、このことについては、詳しい検証が必要である。
午後のワークショップの後には、「生音で聴くスーパーマイスター、ヤコブ・アティラ・ライブ」が行われた。コンサート・ホールと違い、間近で聴くヴィルトゥオーゾぶりは素晴らしかった。
この日最後の「唄と踊りとサイブゥグゥ、サースチャバシュ・ライブ」では、サースチャバシュの楽団だけではなく、ヤコブ・アティラの楽団も参加し、更には和服の津軽三味線奏者、横笛と和太鼓の奏者も加わった。津軽三味線と横笛のハンガリー舞曲は、なかなかの怪演であった。また、踊り手達が和太鼓をたたいてみたり、一般参加者がヴァイオリン奏者として参加したり、ヤコブ・アティラらの演奏でベリーダンスを披露したりもした。最後は、参加者の多くも共に踊った大チンゲララーシュ・パーティとなったが、最後はジェレム・ジェレムを皆で歌って、厳かな中で二日間の全てのプログラムを終了した。
第一回目の「ジプシー・シンポジウム」として何が起こるか予測できない状況で始まったが、様々な民族舞踊団のワークショップが毎年開かれていることもあって、混乱もなく、無事終了した。ロマの音楽と舞踊という彼らの得意とする文化に直接触れ、自らもそれに参加するという機会は非常に貴重であり、種々の報告により、彼らの歴史・現状などについて紹介されたことは有意義であったと思う。第二回以降のシンポジウムも、このような形式で続けられ、私たちがロマについて知り、ロマ文化を体感する機会が続くことが期待される。