“オンドラーシュ”
鵜 沢 敏 子
チェコは歴史上、民族的に、文化的に、ボヘミア(地元はチェヒィ)、モラヴィア、スレスコの3 地方に分けられ、民族舞踊にも大きな違いが見られます。
私は機会があり、1997年12月ドゥヴォラナがプラハで開催したクリスマスFDセミナーに参加しました。それまで「ドウドレブスカ・ポルカ」位しか踊っていませんでしたが、これを機にチェコの踊りに魅了され、10 年間チェコに通いつづけ、地方ごとの其々の違い、奥の深さ、膨大な量が判りはじめて、圧倒されています。
ボヘミアは、代表的な民族ワルツの「ソウセツカー」、2 拍子、3拍子が入り交じって踊られる「マテニーキ」、3 拍子を2 拍子で踊る「フリアント」、チェコ民族の血を騒がせて回転し続ける皆が大好きな「ポルカ」等があり、ドイツ、オーストリアの影響も見られます。
モラヴィアは複雑でハナー、ブルノー、ヴァラシュスコ等、文化的には多数の地方に分けられます。ここでは各村ごとに伝統様式も衣装の着方も違う等、単一民族の日本人には理解しにくい部分が数多く見受けられます。南部は“地元特産のワインをたくさん飲み、男は喉自慢”で、踊りの前に唄が先行し、あとで女性を呼んで踊り始めます。中でも特筆すべきはスロヴァーツコ地方の男性の踊り「ヴェルブンク」が2005 年にユネスコの“世界遺産”に登録されました。ブラボー!!!
スレスコ(ポーランド語ではシュロンスク、私たちが学校で習ったときはシレジア)は、ポーランドだった時代が永く、文化の面での影響が大きく見られます。最近踊っている「チェシノク」はチェコの「スタロダーヴニー」とポーランドの「ポロネーズ」が合体し、スレスコの歴史を物語っているような踊りと言えます。
チェコで圧倒的な人気の“オンドラーシュ”、日本公演を大いに期待しています。